アバウト
ABOUT
INTRODUCTION
はじめに
本企画「コエなきモノのコエ」は、即興音楽を得意とするミュージシャン・赤須翔と、場所の固有性のリサーチをベースにその拡張を試みている美術作家・田原唯之による実験的プロジェクトである。
赤須は、ジャズをベースとした即興性豊かな音楽を奏でることを中心に、倍音歌唱法ホーミーを取り入れた個性的な声の表現や、日常的な事柄を回文として捉え直すような表現を行っている。また田原は、場所の持つ固有性の調査を起点としながら、近年は、その性質の持つ可塑性に対してダブルミーニング的手法や落語的手法といった、話芸をその制作過程に取り込むことで、場所が持ち得る別なる文脈の表現を行っている。
こうした二人制作スタイルの共通項である“声・言葉”を本企画の起点とし、そこに各々の制作方法の特徴である“調査”と“即興”を掛け合わせることで“コエ”とそれを発する“モノ”について、これまでとは異なる角度から捉え直そうとする試みである。
いつの時代も「大きな声」はその存在を高らかに主張する。
昨今、墨田区京島地区では、古くなった長屋群や各種建物などが新たな建物と入れ替わるように、日々その姿が更新されている。オリンピックを始めとした種々の大きな声を契機としているのは自明である。そんな中、幾つかの空き家や空きスペースは、かつてのように生活の一部として使用されることはなくなったものの、未だ開発されることもなく、仮置きの空白期間を漂っている。そしてこうした空間の中には、多くのモノ達がひっそりと佇んでいる。
通常、モノとは人によって何らかの役割を与えられることで存在する。では、その役割を持っていないとすると、そのモノは存在し得ないのか?否、事実ここには多くのモノが存在している。では役割を持たぬモノとは一体どのような存在なのであろうか?
本企画では、人がこれまでに与えた役割、そしてこれから与えるであろう新たな役割、この双方が存在しない状態の「純粋なるモノ」へと焦点を当て、そのモノが発する声へ耳を傾けることを試みる。
「ひそかな声」は、これまで私たちとの境界を越えることはなかった。そして、それはこれからも越えることはないかもしれない。しかし、私たちの方がこの境界を越境していけば、「コエなきモノのコエ」を、自身の身体へと刻み込むことはできるのかもしれない。
PROJECT CONCEPT
主題
PROJECT OVERVIEW
概要
企画名 | コエなきモノのコエ |
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実施期間 | 2020年6月1日〜12月31日(リサーチからオフライン展覧会まで) |
オフライン展覧会日時 | 2020年12月19日(土) ・ 20日(日) | 17:00 – 21:00(最終受付は20:30) |
オフライン展覧会会場 | 旧小倉屋(東京都墨田区京島3-50-12) |
主催 | 「オトヒトアート実験室」 |
共催 | 墨田区 |
特別協賛 | YKK株式会社 |
協賛 | 株式会社東京鋲兼 |
問い合わせ | オトヒトアート実験室 otohitoart@gmail.com |